トンネルに消えた女の怖い話/クリス・プリーストリー
- 作者: クリス・プリーストリー,デイビッド・ロバーツ,三辺律子
- 出版社/メーカー: 理論社
- 発売日: 2010/07/21
- メディア: 単行本
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『モンタギューおじさんの怖い話』、『船乗りサッカレーの怖い話』に続く第三作目。シリーズの他の作品との絡みも多少出てくる。そして、相変わらず主役の少年少女若者に容赦がない。子供のころにこんなシリーズを読んだなら、ひどい怖がりになるか、怪奇小説が大好きになるか、どちらかだろう。
少年ロバートは、寄宿学校へ向かう列車の中で、全身を白で固めた服装の女性と乗り合わせる。医師や農夫、軍人といった周囲の乗客はなぜか一切目を覚まさず、起きているのは女と少年のみだった。白衣の女は、ロバートに様々な怪談を聞かせる。
列車に乗り込んだロバートには、心に引っかかっていることがあった。
ロバートの実母はすでに亡く、軍人の父は出征しているので、彼はそれまでずっと継母と暮らしていた。ロバートは継母が疎ましかった。だが継母がロバートがこの列車に乗ることについて、「悪い予感がする」と、なぜかひどく危機意識を感じている様子だったのだ……。
十九世紀のイギリスを舞台にしており、収録されている短編もいかにもその時代らしいものが多い。温室に運び込まれた他国の未知の植物の恐怖を描いたもの、抑圧されている家庭教師や修道女を主役にしたもの、妖精伝説を暗く描いたもの、そして悪魔憑きものもある。
どれも粒揃いだが、「その土地特有の呪い」をテーマに描いた作品が面白かった。祖母の家に預けられたまだ幼い兄弟が、畑から槍の突き刺さったなにかの骨を掘り当ててしまったことから惨劇が起きる「島」、スコットランドのある島で、村民達が古くから大切にしている岩に、大きな都市からごく最近やってきた少年が軽い気持ちで悪戯してしまう「猫背岩」などがそれに当たる。
プリーストリーの次回作は、ゴシック小説の雰囲気を濃密に漂わせる、荒地に佇む館の物語“The Dead of Winter”だそうだ。
この作者が書いたゴシックホラーなんてぞくぞくする。ぜひとも翻訳されてほしい。
- 作者: クリスプリーストリー,デイヴィッドロバーツ,Chris Priestley,David Roberts,三辺律子
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- 作者: クリスプリーストリー,デイヴィッド・ロバーツ,三辺律子
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