FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

モンタギューおじさんの怖い話/クリス・プリーストリー

モンタギューおじさんの怖い話

モンタギューおじさんの怖い話

 おそらく児童向けに出版されているのであろうが、一切手抜きなし。モンタギューおじさんの語るお話に登場する主人公は、少年少女が多いのだが、年少者の彼らにも大抵の場合情け容赦のない結末が待ちうけている。
 少年エドガーの親戚、森の館に、見えない召使に仕えられて暮らすモンタギューおじさん。彼は人形や、悪魔が刻まれた版画や、絵画などの器物に囲まれており、それらにまつわる怪異譚をエドガーに語り、エドガーは彼の話に夢中になる。
 モンタギューおじさんの「怖い話」のテーマは呪いから、狂気ものまでバリエーション豊か。お気に入りは、古い樹木にまつわる怪異を描いた「ノボルノ、ヤメロ」、これが一番お気に入りの、母娘を装う偽霊媒が降霊会のために訪れた屋敷で巻き込まれた、身の毛もよだつような出来事「元ドア」。この話は、ドールハウスを小道具に使った作品で、意味深なタイトルもいい。そして、なぜモンタギューおじさんがこんな風変わりな館に暮らし、様々な怪談を知っているかが語られる「おじさんの物語」。
 正統派怪奇小説の連作短編集。作者は初めて読む作家だが、作者が骨の髄まで怖いお話が好きとだけあって、とても面白かった。初心者から、マニアまで楽しめる。同じ作者の『船乗りサッカレーの怖い話』や『トンネルに消えた女の怖い話』も読むぞ。

船乗りサッカレーの怖い話

船乗りサッカレーの怖い話

トンネルに消えた女の怖い話

トンネルに消えた女の怖い話