FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

催眠/ラーシュ・ケプレル

催眠〈上〉 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

催眠〈上〉 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

 スウェーデンのサイコサスペンス。発表された当時、作者は匿名で、正体を巡ってちょっとした騒ぎになったそうだが、現在ではともに作家である夫婦アレクサンデル・アンドリルとアレクサンドラ・コエーリョ・アンドリルの合作ペンネームであることが分かっている(二人とも、詩さながらの美しい響きを持つ作家だ)
 過去に起きた、ある事件から催眠術は使わないと決めている精神科医エリック。しかし、その誓いが破られる日が来た。ティーンエイジャーの少年と、離れて暮らす二十代の姉以外の家族が、すべて惨殺された。このままでは姉をも狙われる可能性があるとして、エリックは傷だらけになりながらもかろうじて生存した少年に、当時なにがあったのを催眠をかけて聞き出した。それがエリックの家族、画廊を経営するシモーヌや、定期的に注射が必要な持病を持ち、最近では反抗的な態度も目立つようになった息子ベンヤミンを巻き込んだ事件の発端だった。
 一家惨殺事件が結構半端な結末を迎えるため、この一家惨殺事件と、エリックの過去から起きる事件との比重のバランスがやや崩れている感じを与える。そこに目を瞑れば、そこそこ面白いサイコサスペンスだった。
 余談だが、ポケットモンスタースウェーデンでも子供達に大流行しているらしく、この著書での重要なモチーフとして使われている。

催眠〈下〉 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

催眠〈下〉 (ハヤカワ・ミステリ文庫)