銀の戦士と魔法の乙女/ジェン・ホリング
- 作者: ジェン・ホリング,曽根原美保
- 出版社/メーカー: 宙出版
- 発売日: 2009/09/10
- メディア: 文庫
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『ハイランダーと魔法の乙女』、『黒の伯爵と魔法の乙女』に続くシリーズ第三作目である。第一作目の『ハイランダーと魔法の乙女』を読んで、二巻目を飛ばし、この『銀の戦士と魔法の乙女』を読んでしまった。この巻自体でも一応独立しているが、シリーズ全体を貫く悪役が明かされているので、やはり刊行順に読むことをお勧めしたい。
パラノーマルを読み始めて、日が浅いうちにジェン・ホリングの名前を知って良かった。この作家の良さの一つは、ヒーローが実に魅力的に描かれていることである。登場人物の台詞や、地の文で「魅力的、魅力的」とひたすら賞賛されているものの、実際に本を読んだとき、どこが魅力的なのかと首を傾げてしまうロマンス小説のヒーローは少なくない。しかし、ジェン・ホリングのヒーローは自分の職務や家族に対して責任感を持ち、ヒロインに対しても節度ある紳士(実際の職業は騎士や貴族だが)魅惑的である。
十六世紀末の魔女狩りの嵐が吹き荒れるスコットランド。マクドネル氏族族長アラン・マクドネルの末娘ローズは、謎めいた病に倒れた父を癒すため、強い治癒の力を持ち、「北の魔法使い」と呼ばれるマッケイ族の氏族長にしてストラスウィック卿でもあるウィリアム・マッケイの助力を請うための旅に出た。
ところがウィリアムは邪悪な魔法使いとして、領主でありながら、領民から嫌われ、恐れられる存在だった。ウィリアムは強い治癒能力の持ち主ではあったが、他者を癒すたびに己の身体に深刻なダメージを受ける。同じタイプの力を持つローズには、彼の苦悩や孤独がよく理解できた。ウィリアムはアランの病を癒すため、ローズとともに旅立ってくれた。だがマクドネル親子を標的として狙う陰謀や、魔女狩りの狂気が彼らを狙う。
戦闘シーンの描写は結構激しい(拳銃はこの時代にもうあったんですね)。そして魔女狩り絡みではグロテスクな場面あり。なにせ主要登場人物が審問官から拷問を受けるところすらある。
そういった描写に耐性のある読者にとっては、滅法面白いロマンス小説。ヒロインは可愛らしく、ヒーローは格好いい。
ジェン・ホリングのロマンス小説がもっと翻訳されますように。
- 作者: ジェンホリング,曽根原美保
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