買い取られた伯爵/ベティーナ・クラハン
- 作者: ベティーナクラハン,山田香里
- 出版社/メーカー: 宙出版
- 発売日: 2008/11/10
- メディア: 文庫
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初めて読むロマンス作家だが、あまりの面白さに途中で他に邦訳が出ていないか調べてしまった。残念ながら、現在のところ(二〇一一年九月)、日本での邦訳はこの『買い取られた伯爵』一冊きりである。
伯爵令嬢ブライアンは、父親ローレンスが決めた結婚(相手のフランス人ラウルは金目当てで、しかも残忍な男)から逃れるため、強硬手段に出た。友人でメイドのエラに頼み、酒場で適当に探させた男と、先に教会で結婚してしまったのだ。
しかしブライアンは知らなかった。相手が、父トマスと貴族の家柄に反発し、造船とその会社のために、金銭を必要としていた伯爵家の長男ダラムだったことに。
二人は互いの素性を知らないまま結婚し、一夜をともにしたのち、別れた。
しかしブライアンはラウルと無理やり結婚させられ、エラは冤罪をかけられて追放され、ブライアンはそののち夫から虐待を受ける羽目となった。
夫が火事で死んだのち、ブライアンは考えを改めた父から手ほどきを受け、ビジネスの世界へとのめりこんでいく。やがて、ある程度のときが流れたのち、ブライアンとダラムは再会する。
ストーリーもなかなか面白いが、脇役の書き方も魅力的だ。元ラウルの下僕で、ラウルの死後はブライアンの護衛となる口の利けない巨漢の男ダイソー、したたかで強い女性エラ、そしてヒーローとヒロイン、それぞれの父親、そして彼らの考えや関係が変わっていく様子などにユーモアを感じさせる。
ぜひとも他の作品も翻訳してもらいたい。良かった。