夏の終わりに/ロザムンド・ピルチャー
- 作者: ロザムンドピルチャー,Rosamunde Pilcher,浅見淳子
- 出版社/メーカー: 青山出版社
- 発売日: 1997/07
- メディア: 単行本
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ロザムンド・ピルチャーは世界的な人気のあるロマンス作家。穏やかで温かく健全な作風で、男女の愛のみならず家族愛、さらに広げて一族の内での情愛を描く。またすこぶる風景描写が素敵。
小説家である父親と暮らす若い娘ジェインが、生れ故郷スコットランドへと戻る理由は色々とあった。弁護士であるデイビッドの来訪があったから。父親が一緒に暮らしたがっている女優が現れたから。なにより、彼女自身がスコットランドを懐かしかったからだ。
夏の終わりのスコットランド。祖母の住むエルヴィー荘は相変わらず素敵だったし、祖母その人も変わらぬ人間的魅力をふりまいていた。だがジェインがアメリカにいる間に変わったものもあった。気さくで優しい使用人は老いを見せており、また初恋の従兄シンクレアは大人の男性になっていた。
ロマンスも含めた若い女性の一夏の成長物語。ピルチャーの作品が大抵そうであるよう、読後感も爽やかである。