FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

呪怨 ザ・グラッジ/トビー・ウィルキンズ監督

呪怨 ザ・グラッジ3 [DVD]

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 物凄くつまらないわけではないが、次々と現れる後出し設定が痛かった。
 「彼女」はごくごく普通の女性で良かったのに(その方が怖いし、悲愴感もひとしおだ)、数奇な生まれだとか、それまで聞いたこともない親族の存在だとかが、続編でいきなり出てきて、やや鼻白む。
 これならば伽椰子と俊雄の存在や彼らが巻き込まれた殺人事件、そして死後の彼らが引き起こした惨劇を用いず、つまりは呪怨シリーズ以外の作品として普通の幽霊屋敷ものをやれば良かったではなかろうかと思われる。
 冒頭から、前作『呪怨 パンデミック』での数少ない生き残りが惨殺される。あとは今までと全く同じ、今度は前作の舞台の一つとなったアパートに関わった人々が、例によって例の如く生命を散らされていく。伽椰子と俊雄、そして彼らの脅威に立ち向かおうとする人間は現れるが、登場そのものが唐突過ぎて違和感を感じるし、おまけに「これまでの経緯も知ってるだろうに、なんでもっと早く手を打たなかったんだ」という疑問も感じられる。
 正直に言えば、伽椰子と俊雄の存在にほとんど触れられない(そしてほんの少ししか出演しない)『呪怨 白い老女』と『呪怨 黒い少女』の方が、呪怨シリーズの後継者としていい仕事をしている。
 『SAW』も第三作以降見ていないし、ハリウッド製『呪怨』シリーズもこの第三作でおさらばしようかと考えているところ。