サスペリア・テルザ 最後の魔女/ダリオ・アルジェント
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傑作『サスペリア』、怪作『インフェルノ』に続く、「魔女」三部作の最後を飾る作品である。
最後に見た『スリープレス』が残念な出来だったので、正直言ってあまり期待していなかった。しかし、そこそこ面白かった。むろんつっこみたいところは色々とあるのだが、これは嬉しい計算違いである。
墓地に近い工事現場から柩と遺品入れが発見される。柩はそのまま埋め直されたものの、遺品入れを見つけた司祭は、それをローマの古代美術館の館長へと郵送した。
だがあいにくと館長は不在、荷物を手にした研究員サラとその同僚が好奇心から遺品入れを開けたとき、悪夢は始まった。三人の偉大な魔女の一人、このときまでただ一人生き伸びていた「涙の母」が、蘇ったのだ(この復活の際、サラはかろうじて生き延びたものの、一緒に開けた同僚は妖しきものたちに惨殺されている)
その日より、ローマは暴力や暴動、自殺や殺人や略奪が繰り返される、おぞましい都と化した。サラは自分の生命を守るため、そして涙の母の厄災を止めるため、行動を起こした。彼女を追うグループは二つ、一つは彼女を同僚殺しの容疑者として疑う警察、もう一つは涙の母の崇拝者達たる魔女達だ。最初はなぜ魔女達が自分を執拗に狙うのかが今一つ分からなかったが、それはサラの出生とも深く関与していた。
グロい、グロい。
しかし、これらは従来のアルジェントのファンならば慣れているランクだ。だが、実際に血は流れなくとも良き(怖い)場面がいくつかある。ネタバレにならない程度で書くと、「ある声の忠告を受け入れたのち、本屋で刑事と顔を近づけるシーン」、そして「錬金術師の検査」である。特に後者は「来るか!」とどきっとした。
つっこみたい場面はまずは涙の母の配下の魔女達のメイク。見ているだけで恥ずかしい。そして肝心要の涙の母。強力な魔女のはずなのに、最後に晒した姿にはどう見ても威厳も気品もない、むしろ安っぽいものだった。そして登場人物がやたらと「(涙の母)彼女は強力な存在」だとか「戦う方法などあるのか」だとか、散々畏怖されているはずの強敵だったはずなのに、サラが戦い始めると、いやにあっさりと(以下略)。なにあのヘタレ。
せめてもう少しだけでも「涙の母」存在に魅力があれば良かったのに。そう思いはするものの、死体もりだくさん、流血ももりだくさんのアルジェントらしい一作だった。
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