FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

麗しの男爵と愛のルール/サブリナ・ジェフリーズ

麗しの男爵と愛のルール―背徳の貴公子〈3〉 (MIRA文庫)

麗しの男爵と愛のルール―背徳の貴公子〈3〉 (MIRA文庫)

 摂政皇太子ジョージ(のちのジョージ四世)の庶子の三兄弟をヒーローに据えた<背徳の貴公子>シリーズ最終話にして、三作目。当方は先行する『黒の伯爵とワルツを』、『竜の子爵と恋のたくらみ』を読んでいないので、これが初めて触れるこのシリーズの作品ということになる。
 リージェンシー・ロマンスにおいて、摂政皇太子が好人物として描写されている作品を読んだことがないのだが、この『麗しの男爵と愛のルール』では、庶子たちに「種馬」呼ばわりさえされている(彼ら、そして彼らの母親に対する扱いが酷薄だったためだが)
 摂政皇太子の隠し子の一人、バーンは高級社交クラブのオーナー。自分と自分の母親に対する仕打ちのあまりのひどさから、高貴な地位にある父親に対する恨みと復讐心を忘れられずにいる。そんな彼の元に近付いてきたのは、軍人の娘にしてハヴァシャム侯爵未亡人クリスタベル。彼は、ある貴族の手に渡ってしまった、皇太子にまつわる手紙を取り戻したがっていた。手紙を持っている貴族の開催するパーティーに参加するため、クリスタベルはバーンの愛人を装うことを提案し、好奇心をそそられたバーンはそれに乗る。
 サブリナ・ジェフリーズは当方のヒストリカルロマンス四天王の一人だが、この作品はどうもいただけなかった。ストーリー展開が全体的に弛緩しており、扶桑社ロマンス文庫から出ている「淑女たちの修養学校」シリーズの各作品からはあれほど感じられた華やかさや力強さに欠けている。
 いま一つならず、いま二つといったところ。
<背徳の貴公子>シリーズの他の巻を読んで、サブリナ・ジェフリーズのこの作品のみが外れなのかどうかを確かめたい。

黒の伯爵とワルツを―背徳の貴公子〈1〉 (MIRA文庫)

黒の伯爵とワルツを―背徳の貴公子〈1〉 (MIRA文庫)

竜の子爵と恋のたくらみ―背徳の貴公子〈2〉 (MIRA文庫)

竜の子爵と恋のたくらみ―背徳の貴公子〈2〉 (MIRA文庫)

↑いつかは読みたい摂政皇太子の資料本