この賭の行方/スーザン・アンダーセン
- 作者: スーザンアンダーセン,Susan Andersen,立石ゆかり
- 出版社/メーカー: ハーレクイン
- 発売日: 2007/09/15
- メディア: 文庫
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「ショーガール・シリーズ」第一作。
ラスベガスを舞台に、ショーガール(美脚!)と、数学の天才でもあるギャンブラーが繰り広げる恋物語。
“海兵隊三部作”の登場人物達でも言えたことだが、『この賭の行方』のヒーローとヒロインもまた、親との確執を抱き、心に傷を負いつつも、懸命に生きている。ヒーローとヒロインばかりではなく、ヒーローの敵役もまた父親との関係に悩んでいることをほのめかしている。だが、この敵役がロシア系のチンピラであるにも関わらず、異様にアメリカ文化にはまっており、アメリカ文化に関するものをコレクションするのが好きでたまらず、特にエルビス・プレスリーを崇拝しており、本人はつねに黒髪をオールバックにしてエルビス風に決めているという設定だ。こういった設定から醸し出されるユーモアが、ヒーローやヒロインの境遇が負う重苦しさを和らげている。
数学の天才にしてプロのギャンブラー、ジャックスは、ギャンブルのため、一人のショーガールに接近するため、ラスベガスに足を踏み入れた。ショーガールの名前はトリーナ。死んだ父、ずっと憎んでいた父、しかしずっと認めて欲しかった父が、結婚していた女だ。なんともにくたらしいことに、父は遺産と、ジャックスにとって祖父の形見にあたる、野球のボールを女に渡していたのだ。どうしてもボールは取り戻したい。
計算ずくでトリーナに近付いたジャックスだが、やがて本当に彼女に惹かれていく。そして自分が、かつてトリーナと結婚していた男の息子だと言い出せず、苦しむようになった。
ロマンスもさることながら、ショーガールとしては微妙な年齢に差し掛かっているものの、踊ることへの情熱は誰にも負けないトリーナのダンス場面と、ジャックスのギャンブルのシーン、二人の仕事へのひたむきさが感じられる描写も多くてよし。
面白かった。第二作『氷のハートが燃えるまで』も読もう。
- 作者: スーザンアンダーセン,Susan Andersen,立石ゆかり
- 出版社/メーカー: ハーレクイン
- 発売日: 2008/05/15
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