FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

ヒースの野に秘めた愛/サマンサ・ジェイムズ

ヒースの野に秘めた愛 (ソフトバンク文庫NV)

ヒースの野に秘めた愛 (ソフトバンク文庫NV)

 王道と陳腐は紙一重。
この『ヒースの野に秘めた愛』は、ヒーローとヒロインの設定からストーリー展開まで、ひたすらありふれたものだが、それでも凄く面白かった。常に不思議に思うのだが、この紙一重の差とは、やはり創造するものの技量によるものなのか。
 十九世紀、イングランド。ヨークシャーの資産家サイモン・ブラックウェルは過去にできたあるつらい出来事により、周囲に心を閉ざした。公爵令嬢アナベルはふとしたことからサイモンと知り合い、あることで彼とのスキャンダルに巻き込まれそうになり、二人は便宜上結婚することとなった。
 ヨークシャーの荒涼とした自然の中で結婚生活を送るうち、アナベルはサイモンの秘密を知り、二人は心から愛し合うようになるのだった。
 ロマンティックで、しかもほのぼのとしている。ただし前述の通り、目新しいことはなにもない。
 サマンサ・ジェイムズ。初めて読むのだが、要チェックの作家となった。