FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

ハネムーンの殺人/キャロリン・G・ハート

ハネムーンの殺人 (ミステリアス・プレス文庫)

ハネムーンの殺人 (ミステリアス・プレス文庫)

 ハンサム&キュートな主人公、脇を固める癖の強い登場人物、生臭さも血生臭さもあまり感じられない殺人事件の数々(なぜかヒロイン&ヒーローのご本人、もしくは周りの人間達が毎度容疑者にされる)。コージー・ミステリのお手本のようなシリーズの二作目。
 舞台はサウスカロライナ州のリゾート地でもある島、ブラウアーズ・ロック。アニーはミステリ専門書店<デス・オン・ディマンド>の経営者だ。美男で大金持ちの恋人マックスとの結婚にこぎつけた彼女の心は浮き立っていた。だが結婚式並びにハネムーンは穏当には進まなかった。
 シリーズもののミステリにはお馴染み、殺人事件が発生し、蜜月旅行は台無しとなる。覗き趣味があり、その悪癖を利用して強請を働いていたと思しき嫌われ者の老人が殺された。とともに<デス・オン・ディマンド>の店員でもあり、アニーの大事な友人でもあるイングリッドの姿が消えた。このままでは彼女が犯人にされる……いや、彼女の生命が危ない。
 アニー&マックスはゆっくりといちゃいちゃしたい気持ちを堪え、犯人探し及びイングリッド探しに没頭するのだ。
このシリーズ特有のエッセンスとしてミステリの膨大なうんちくがあり、余計なお世話ながら訳者はさぞかし大変だろうと推察される。冒頭と巻末で示される「この五枚の絵はなんのミステリを示してるか、共通するテーマはなにか」のクイズも楽しい。