FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

独立記念日の殺人/キャロリン・G・ハート

独立記念日の殺人 (ミステリアス・プレス文庫)

独立記念日の殺人 (ミステリアス・プレス文庫)


 アニー&マックスのシリーズ、第八作。
 アメリカのコージー・ミステリを読んでいると、しばしば独立戦争南北戦争絡みのイベントが出てくる(そしてイベントの最中に殺人事件が発生する)。この作品はタイトル通り、独立記念日の祭りの最中にやっぱり殺人事件が発生、例によって例のごとくヒーローとヒロインの身近にいるものたちに嫌疑にふりかかり、主人公達が調査に乗り出していく。
 元軍人の白人男性至上主義バッドの言動は、周囲の人間を苛立たせ、しばしばトラブルの種となっていた。そしてバッドは独立記念祭の行事にも、散々差別的な言葉を口にしながら横槍を入れてくる。やがて記念祭の最中、当のバッドが射殺される。容疑は黒人青年にかけられる。
 黒人青年の無実を信じたアニー&マックスは、調査を開始する。
 人種差別、性差別主義者の白人男性が殺され、その嫌疑が善良な黒人男性に……という設定はあまりにも型にはまり過ぎていていかがなものかと思われる。謎を解く探偵カップルも白人だし。これは1999年に出版されたものだが、オバマ氏が大統領である今(この文章を書いているのは2010年9月)だったら、作者も読者も反応は違うのか。ミステリとしては可もなく不可もなくといったところ。