FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

神の家の災い/ポール・ドハティー

神の家の災い (創元推理文庫)

神の家の災い (創元推理文庫)

 中世の英国を舞台にしたシリーズ第三作。数年前に原書で呼んだことがあるのだが、このうち「緋色の部屋」の謎の真相しか覚えていなかった。情けない。しかしながら自分の記憶力のなさを遠い棚の上に投げて言えば、これらの謎はいずれも小粒で、すでに出版されている他のシリーズ作品ほどの迫力はない。
 一三七九年六月、ロンドン。検死官ジョン・クランストンと彼の書記アセルスタン修道士は頭を抱えていた。彼らの前に三つもの謎が立ちふさがっていたのだ。
 一つは、泊った人間がいずれも謎めいた死を遂げる「緋色の部屋」の真相を突き止めること(期限は二週間)
 二つ目は、アセルスタンの教会が発見された人骨。人々の怪我を癒すこの人骨は奇跡を呼ぶ代物なのか。
 そしてしまいに、アセルスタンがかつて籍を置いた修道院で起こる連続殺人事件。
 ひょっとしてポール・ドハティーは一つ一つの謎と真相がいずれも小粒であるため、一つの長編に三つも詰め込んだのだろうか。ジョンとアセルスタン、私生活でもそれぞれ波乱や幸福があり、シリーズものの一冊としては楽しめる。