FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

不肖の息子/ロバート・バーナード

不肖の息子 (ハヤカワ・ミステリ 1428)

不肖の息子 (ハヤカワ・ミステリ 1428)

 大地主が一族を揃えた誕生日パーティーの席で殺されるというシチュエーションも本格ミステリの王道を行くものであり、また殺された男が作家が、彼の死の様子がそれまで発表されていなかった作品に酷似しているという設定もありがちのものである。
 設定が陳腐というよりも、わざとらしいほど「本格ミステリでよくある殺人事件のシチュエーション」を強調しているように見える。あとは、どうやって解決をきれいに外すのか、と考えていたら、あまりきれいに外れていなかった。あの犯人、その過去はちょっと出し方が唐突である。だが彼の犯した失敗と……その失敗のせいでメレディス警部がこの人を真犯人を見破る……は結構うまくできているので、どうにか帳消しといったところか。
 つまらなくはないが、ロバート・バーナードの佳作とも言えない。