FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

幽霊屋敷の殺人/キャロリン・G・ハート

幽霊屋敷の殺人 (ハヤカワ文庫―ミステリアス・プレス文庫)

幽霊屋敷の殺人 (ハヤカワ文庫―ミステリアス・プレス文庫)

 シリーズ第六作。異色の作品だ。ある名門一族で、かつて起こった悲劇を題材にしている点でも、ヒーロー&ヒロインの周囲の人間が殺人事件の容疑者にされないという点でも。このシリーズのお約束、「登場人物の一人は失踪する」はあるのだが。
 アメリカ南部の名家タラント家。格と歴史を誇るこの家で、かつて悲劇は起きた。父親と息子、厳格で有名な判事オーガスタスと、ハンサムな三男ロスが立て続けに生命を失ったのだ。哀しみに耐えられなかったのか、妻でもあり母でもあるアマンダも死んだ。 やがて長い年月が経過したとき、私立探偵の一種であるマックスの元に、依頼人として一人の美女が現れた。彼女の名前はコートニー。実はタラント家、そしてオーガスタスやロスとも深い関りを持つ娘で、彼らの死に疑惑を感じ、マックスに調査を依頼してきたのだ。やがてコートニーが失踪(このシリーズと行方不明とは切っても切れない間柄)、アニー&マックスは事件に巻き込まれる。
 というわけ壮麗な邸宅を舞台に、ゴシックロマン風のミステリが展開される。真犯人及び最後の結末はお約束通りなのだが、それもまたよし。