FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

遺骨/アーロン・エルキンズ

遺骨 (ミステリアス・プレス文庫―ハヤカワ文庫 (74))

遺骨 (ミステリアス・プレス文庫―ハヤカワ文庫 (74))

 スケルトン探偵ギデオン・オリヴァーのシリーズ六作目……であってるかな。裏表紙ののあらすじに「シリーズ屈指のトリックで謎解きの醍醐味を満喫させる」とあるが、知的で爽やかで、それでいてどこか軽い印象を与えるこのシリーズにおいては珍しく、グロテスクで強烈なトリックを使っている。このシリーズを成立させるため、犯人が取った行動はどこか滑稽なものだが。
 十年前、司法人類学会の重鎮ジャスパーがバスの事故で生命を失った。その遺骨が自然史博物館に展示されることとなり、彼のかつての教え子や同じ学問を修めていたものたちが集まることとなり、人類学教授であるギデオンが呼ばれることとなった。だがジャスパーの遺骨は盗まれ、人類学のエキスパートだらけの彼らは困惑した。やがて謎めいた白骨が見付かり、彼らの一人が殺されると、ただ困惑しているだけではいられなくなった。
 いつも通り、とっつきにくい学問の世界を相変わらず分かりやすく、読みやすく描いている。知性とユーモア、そしてえげつないトリックに彩られた作品。