永久の別れのために/エドマンド・クリスピン
- 作者: エドマンドクリスピン,Edmund Crispin,大山誠一郎
- 出版社/メーカー: 原書房
- 発売日: 2000/09
- メディア: 単行本
- クリック: 5回
- この商品を含むブログ (5件) を見る
英国の、地味でなおかつ滋味豊かなミステリが大好きな当方にとっても、いまひとつの作品。「小さな村の閉鎖的な人間関係の中で起きる殺人事件」は大好物のはずなのに、である。
英国の小さな村コットン・アバス。美しい女性医師ヘレンは悩んでいた。男性医師シムズが開業して以来、さっぱりと患者が来なくなったのだ。シムズがいなくともこの時代、この土地柄では、独身で、しかも医者である女は好奇の目で眺められているのに。同じとき、村では中傷の手紙が飛び交っており、人々の心に動揺を呼び起こしていた。やがてヘレンの友が自殺した。理由は悪意ある手紙のためだろう。やがて村では殺人事件が発生する。そしてやけに唐突に名探偵が解決する。
クリスピンはそこそこ好きな作家だが、これまでに読んだ彼の作品中もっとも低い点数しかつけられなかった。おそらく喜劇としても、悲劇としても、ロマンスとしても、その上ミステリとしても半端な印象を与えるためであろう。
初クリスピンにはお奨めできない。『アルファベット・パズラーズ』や『仮面幻双曲』の作者たる大山誠一郎の翻訳したミステリが読みたい人はどうぞ。