未亡人クラブ/ドロシー・キャネル
- 作者: ドロシーキャネル,Dorothy Cannell,浅羽莢子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1992/09
- メディア: 文庫
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何気なく手に取ったミステリだが、無茶苦茶面白くてびっくりした。『いい女の殺しかた』に続くシリーズものの二作目なのだが、そちらは未読。
かなりエキセントリックな雰囲気のコージーミステリだ。通常コージーミステリは周囲の人間は変人揃い、語り手は比較的まとも(突っ込み役)という場合が多いが、この『未亡人クラブ』は一人称の語り手であるヒロインがかなり神経症めいている。あとがきで訳者が、このシリーズの特徴をパラノイアとパニック、そしてパロディと三つのPでまとめているのだが、それがぴったり。
前作でダイエットに成功し、ハンサムな夫ベンを手に入れたエリー。のどかな村に引っ越し、幸福な新婚生活を送るはず……だったが、エリーは現在の幸福をいつ失うかと絶えず恐れている。
しかも引っ越した先には、奇妙な組織が力をふるっていた。未亡人クラブ。夫を殺し、未亡人を作るための女達の組織だ。風変わりな老姉妹、フラワーズ探偵局の探偵でもあるトラムウェル姉妹からこのクラブの存在を明かされ、首を傾げるエリー。しかし町では次々と殺人事件が発生する。
ヒロインの癖が強いので、はまる人とはまらない人の差が大きいはず。当方には大ヒットだった。トラムウェル姉妹は、このシリーズではないものの『死がかよう小道』という作品にも登場するらしい。
『いい女の殺しかた』も読むぞ。