FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

感染/落合正幸監督

感染 プレミアム・エディション [DVD]

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 「真実」が明かされてからの、だらだらとした部分さえなければ、もう少し評価は上がっていたことだろう。経営難から存続すら危ぶまれている、ある病院。先行きが不透明なためか看護師がすでに何人も止めており、残った医師や看護師でその分をカバーしなくてはならない。スタッフは誰もが心身ともに疲れ切っており(しかも給料が未払いだ)、必要な備品さえ底を尽きかけている……という極めて現実的にして現代的な医療現場が舞台というのが、新鮮で良かったのだが。
 中央病院の医師やスタッフは危機を迎えていた。入院患者の様態が悪化、急遽手術となったものの、医師の言葉を看護師が取り違え、間違った薬品を点滴として打ってしまい、その患者が死亡。スタッフと病院そのものの未来を閉ざすような医療ミスだった。表沙汰にはできなかった、いやしなかった。そんな彼らの元に、肉体が溶け切った、前代未聞の急患が運び込まれる。やがて肉体が溶ける奇病は医師や看護師を順番に襲うようになった。病院にパニックが広がる。
 オチが明かされても、話をやたらと続けようとしているため、点数が低くなる。あそこでさっと切り上げてくれたら、もっと評価は高かっただろうと感じられる。社会派ドラマのように始まり、未知の病原菌の感染の恐怖を巡るパニックホラー風に展開していくこの映画、医療ミスを隠蔽しようとする点はいただけないものの、そこに至るまでの事情を見せられているせいか、ちと同情したくなってしまった。
 個人的には、某医師がどのような無残な死を遂げるかとどきどきしていたのに、実に意外な扱い方をされており、びっくりした。