フリント船長がまだいい人だったころ/ニック・ダイベック
フリント船長がまだいい人だったころ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
- 作者: ニックダイベック,Nick Dybek,田中文
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/08
- メディア: 単行本
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タイトルの『フリント船長がまだいい人だったころ』とは、主人公の少年カルに父親が語った自作の物語のことである。カルの愛読書は『宝島』。父親は『宝島』に登場する海賊、フリント船長がまだ善人だった頃のエピソードを創造し、息子に語ったのだ。
同時にこのミステリは、「カルがまだいい子供だったころ」、「舞台となる町ロイヤル・アイランドの住人がまだいい人達だったころ」と、彼らの上に訪れる変化を描いた犯罪小説である。
アメリカ北西部の海辺の町ロイヤルティ・アイランド。ここはアラスカでの漁で成り立っている町だった。住人のほとんどは、漁師とその妻子だ。主人公の少年カルもまた例外ではない。彼もまたいつか父とともに漁に出ることを夢見ていた。
ある日、漁船団のオーナーが急死し、息子のリチャードが後継者となった。リチャードは、事業を外国人(ちなみに日本人だ)に売り払うと宣言した。それは、町の人々の生活が崩れ去ることを意味していた。
ところがある日、リチャードが海で消えた。町の人々は思わず喜び、ほっとした。カルもまた。だが、そののちカルはひどくおかしな成り行きに巻き込まれるのだ。
ややネタを割ってしまうことになるが、「リチャードの失踪=そのとき町の誰かが、事故のように見せかけて彼を殺していました」という類の単純な物語ではない。さらに事態は複雑で、それゆえカルもまた極めて微妙な立場に置かれ、苦しい選択を強いられることになる。
苦い、苦い、青春小説にして犯罪小説。父親も小説家……『シカゴ育ち』を書いたスチュアート・ダイベック。ごめん、未読だ……だが、決して親の七光でデビューしたわけではないだろう。
- 作者: スチュアート・ダイベック,柴田元幸
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2003/07/01
- メディア: 新書
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- 作者: スティーヴンスン,村上博基
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2008/02/07
- メディア: 文庫
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