FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

エジンバラの古い柩/アランナ・ナイト

エジンバラの古い柩 (創元推理文庫)

エジンバラの古い柩 (創元推理文庫)

 ヴィクトリア朝スコットランドエジンバラで活躍するジェレミー・ファロ警部補と、その義理の息子、医師のヴィンスの活躍を描いたシリーズの二冊目である。
 一冊目『修道院の第二の殺人』は穏健で、つまらなくはないが、印象に残りにくい話ではあった。この二冊目は違う。中途まではジョセフィン・テイ『時の娘』風の、「歴史の裏には、我々の知らなかったこんな真実が隠されていたのだ!」というミステリだと思っていたら、終盤はかなり意外な方向へと飛んでいく。まさか、あそこで着地をするとは思わなかった。
 エジンバラ城の崖下で見つかった、男の死体。男の周囲で見つかった証拠品を見ると、どうも男は十六世紀のスコットランド女王メアリ・スチュアートについてなにか調べていたようだと分かる。
 エリザベス一世によって処刑されたメアリ・スチュアートの「隠し持っていた謎」については、大方の読者の想定の範囲内だと思われる。しかし、そこからの展開が凄い。だから、中途の展開がやや退屈に感じられても、最後まで投げださずに読んで欲しいのだ。
 ネタバレ防止のために回りくどい書き方しかできなかったので、ちょっとした驚きを味わえるミステリ。今後、彼の家族は無事なんだろうか。

修道院の第二の殺人 (創元推理文庫)

修道院の第二の殺人 (創元推理文庫)

残酷な王と悲しみの王妃

残酷な王と悲しみの王妃

↑トップバッターがメアリ・スチュアート女王。エリザベス一世の母、アン・ブーリンについての章も楽しい名著。