星を撃ち落とす/友桐夏
- 作者: 友桐夏
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2012/06/28
- メディア: 単行本
- 購入: 3人 クリック: 103回
- この商品を含むブログ (29件) を見る
強引にまとめてしまうが、生々しい人間の感情やその感情が引き起こしたダークな出来事を描きつつも、どこか現実離れしており、古い少女小説のような甘美さをたたえた作家の系譜として「佐々木丸美〜恩田陸」の系譜があると思う。そして友桐夏も、その延長線上にいる。
第二章「廃園に臨む館への招待」での姿を現さない令嬢と、彼女を巡る事件の真相について、登場人物達が推理を巡らせる様子など、恩田陸『黒と茶の幻想』の四人の男女のやり取りをふと連想させた。
彼女のデビュー作『白い花の舞い散る時間』は四人の少女と、その心理戦を描いた小説だったが、この『星を撃ち落とす』も同じく四人の少女が現れ、心理戦を繰り広げる。
優等生でしっかりものの水瀬鮎子、明晰な頭脳を持つが悪評の絶えない篠原美雲、気弱で依存心が強い長岡茉歩、四人の中でもっとも「語り手」の位置に近く、他の三人に比べれば個性が乏しく見える津上有騎。
この四人の中で、
一番傷付いたのは誰だ。
一番邪悪な心を持つのは誰だ。
タイトルの『星を撃ち落とす』とは、四人の中の黒幕めいた存在が抱いていた暗い願いだった。その意味と、それまで読者に隠されていたある事実が分かった瞬間、膝を打った。
傑作。
- 作者: 友桐夏,水上カオリ
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2005/09/01
- メディア: 文庫
- 購入: 3人 クリック: 74回
- この商品を含むブログ (142件) を見る
- 作者: 恩田陸
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/12/12
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 14回
- この商品を含むブログ (69件) を見る