ダークサイド/べリンダ・バウアー
- 作者: ベリンダバウアー,Belinda Bauer,杉本葉子
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2012/07/06
- メディア: 文庫
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十二歳の少年スティーヴンが、叔父にあたる少年(母親の弟、当時十一歳)を殺した殺人鬼と文通を始め、そこから事件が展開していく『ブラックランズ』が面白かったべリンダ・バウワー。二作目も、同じ村で起こっており、十六歳に成長したスティーヴンも登場する。
ロンドンからはるか離れた、貧しい村シップコット。この住人の誰もが知り合いのような小さな村で、寝たきりの老女が殺される。老人殺しは一件だけでは終わらず、二度三度と続いた。村で唯一の巡査ジョーナスは、州都からやってきたマーヴェル警部達と捜査を始めるが、とことん噛み合わない。なにせマーヴェル警部自身が自身の部下とうまく関係を築いていなかった。
警察を愚弄するような落書きが続き、狭い人間関係の村で互いに疑心暗鬼がつのり、ジョーナスは悩む。彼の最愛の妻ルーシーは、多発性硬化症という難病のため、身体がろくに動かないのだ。殺人鬼が、ルーシーを標的にしたら、どうしたらいいのだろう。
狭いコミュニティの中で、互いのことをよく知っているはずなのに、鬼畜が起こしたとしか思えない殺人事件が頻発し、人々が不安に陥っていく……というのは、人間関係が密接なサークルを舞台にしたサスペンスの定石だが、その雰囲気がなかなかよく書き込まれている。
また、こうした村に一人はいる「変人」の設定も楽しい。このシップコットではロニーという青年がそれに当たり、彼は車を盗み、修復・改良をせずにはいられない性癖を持っているのだが、どこか抜けているので大抵修復・改良を終えた時点で警察に見つかってしまう。しかしその返還された車の持ち主は、あまりに見事に改良されたマイカーに感激し、中にはロニーにお礼の手紙を書いたものさえいるのだ。
問題は真犯人で、これは笑うか、怒るか、素直に驚くか、迷うところ。うーむ、こう来たか。
なかなか変な作品である。
- 作者: ベリンダバウアー,Belinda Bauer,杉本葉子
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2010/10/06
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