FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

恋に落ちた悪魔/サブリナ・ジェフリーズ

恋に落ちた悪魔 (扶桑社ロマンス)

恋に落ちた悪魔 (扶桑社ロマンス)

 「淑女たちの修養学校」シリーズ第五作目。相変わらず高いアベレージを保っているシリーズである。
 第一作『誘惑のルール』や第三作『スコットランドの怪盗』のときは、ラブコメディの要素が強かったが、第四作『放蕩貴族のレッスン』やこの作品は、比較的シリアスな傾向が強い。また舞台の一部が、イギリスから離れるので、翻訳ロマンス小説にこんな形容はおかしいかもしれないが、エキゾティックな雰囲気もある。
 修養学校の生徒時代はクラスのリーダーで、恐れることを知らなかったルーシーだが、学校を卒業し、社交界にデビューすると、現実の厳しさを思い知らされることとなった。いきなり幼馴染みピーターにふられた……ルーシーの淑女らしからぬ性格と、その身体を流れる異国の血ゆえに。傷心のルーシーの前に、欧州中で人気のスペイン人魔術師ディエゴが現れる。ディエゴは実は、ルーシーの出生の調査のため、彼女に近付いたのだ。しかし、本当に二人は惹かれ合うようになる。
 ルーシーの出生の秘密、そして「なぜ現在の家庭にいるのか」という真相がしっかりと考えられており、好感が持てる。ヒーロー、ディエゴも魅惑的だし、主役二人が日本人ではないのにも関わらず、桜の下での出会うというのも新鮮だ。
 「ハリス夫人の修養学校」の経営の危機及び、影のヒーロー、マイケルの正体もほのめかされている(多分、あの人なんだろう)。
 訳者によるあとがきによると、大団円まで、短編集が二つ挟まっているとのことで、そちらの翻訳が先になりそうとのこと。ああ、早くシャーロットとマイケルのロマンスが読みたい。

誘惑のルール (扶桑社ロマンス)

誘惑のルール (扶桑社ロマンス)

公爵のお気に召すまま (扶桑社ロマンス)

公爵のお気に召すまま (扶桑社ロマンス)

スコットランドの怪盗 (扶桑社ロマンス)

スコットランドの怪盗 (扶桑社ロマンス)

放蕩貴族のレッスン (扶桑社ロマンス)

放蕩貴族のレッスン (扶桑社ロマンス)