ライアーゲーム 再生/松山博昭監督
実は別の映画を見るはずだったのだが、時間が間に合わなくてこちらを見ることになった。しかし、実に面白かった。
当方はライアーゲームの原作を読んだことがなく、テレビドラマも見ておらず、一通りのあらすじを知っているのみである。映画の第一作である『ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ』も見たことがない。だが、やはり映画だけ見たことのある佐藤東弥監督『カイジ』シリーズ同様、「原作に一切触れたことがない人間」に対しても入り込みやすい造りになっている。
見ながら、「男女ともに『カイジ』の方が、役者に美形が多いなあ」、「登場人物たちがリアクションがオーバーすぎて、なんかコントみたいだなあ(二時間ドラマの帝王、船越英一郎が紫色のマントを羽織って、高笑いしながら新興宗教の教祖をやっている)」などと思っていたのだが、前者はともかく、後者にはこうした理由があるのだろう。
ときには肉弾戦があったり、大がかりな仕掛けを主役陣営が用いたりすることがあった『カイジ』と違い、この『ライアーゲーム 再生』は廃墟という閉ざされた空間における、暴力行為一切禁止の頭脳戦である。プレイヤーは、その感情も含めて盤上の駒に過ぎない。しかも二十人と登場人物が多い。これで外見や言動が地味だったら、あっという間に、誰が誰なのか見分けがつかくなくなることだろう。
おまけに『ライアーゲーム』のタイトルが示すよう、プレイヤー同士の熾烈な騙し合い、裏切り合いが見どころであるため、その毒を中和するべく、ヒロインはひたすら無垢で、脇役は盛り上げ役で三枚目なのである。
女子大生、優は大学卒業を迎えた日、唐突に巨億の富をかけた「ライアーゲーム」なるゲームに、無理やり参加させられる。このゲーム、勝てば途方もない大金が手に入るが、負ければ莫大な負債が課せられる。優が助力を求めたのは、母校で心理学を教える、秋山だった。彼は以前の「ライアーゲーム」の優勝者だった。そしてこの度もまた、ライアーゲームに強制参加させられていた。
バスに乗せられ、二十人のゲームプレイヤーが向かった先は廃墟……なぜか火があちこちで燃えているが、誰も気にしていない……プレイするべきゲームは、「椅子取りゲーム」。むろん平凡な椅子取りゲームではなく、
●廃墟のあちこちに散らばる椅子を自力で見つけ出す。
●同じ椅子に、連続して二度座ることができない(連続でなければOK)
●暴力行為は一切禁止。暴力行為があった途端、失格及びペナルティー。
●一つのゲームが終わった時点で投票を行い、プレイヤーの中から親を決める。親となった人間は、消す椅子の番号を指定できる。ゲームに敗退した人間でも、投票権は持つ。
●プレイヤーには、それぞれ自分の名前が入ったメダルを二十枚配られる。価値は一枚一億円で、最後に一人残った優勝者のみが換金できる。
などという、厳密なルールがある。
秋山は、このゲームが「「椅子取りゲーム」ではなく「国取りゲーム」、いかに仲間を増やすかがカギ」で見抜き、戦いに挑む。
裏切ったり、裏切られたり、騙したり、騙されたり、人を信じたり信じなかったりしながら、勝者と敗者が決まっていく。
あのラストはヒロインの性格設定からやるだろうとは思っていたが、やはり心動かされた。
芦田愛菜は可愛いが、この話には要らなかった。
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