死の扉/レオ・ブルース
- 作者: レオ・ブルース,小林晋
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2012/01/27
- メディア: 文庫
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真相を知ったとき、脳裏に浮かべたのは、英国女性ミステリ作家の某作品(ジル・マゴーン『騙し絵の檻』)だった。他にも前例はいくつもあるだろう。
深夜、小間物屋の女主人にして、嫌われ者の老婦人エミリーと、地区を巡回していたスラッパー巡査が殺された。強欲で利己的だったエミリーは、敵にはことかかぬ。スラッパー巡査は、エミリー殺しを目撃したゆえ殺されたのか。
探偵役を務めるのは、伝統あるパブリック・スクールの歴史教師キャロラス・ディーンとその生徒ルーパート・プリグリー。
事件の構図は比較的早く掴めるが、実行犯が誰なのかはなかなか分からなかった。が、ディーンを襲撃するというヘマをやった犯人が捕まってから、「第二十六章 関係者全員集合」が始まり、関係者の
「ここがいつもわしが一番楽しみにしている部分なんですよ。結末の説明によって、すべてにどんな意味があったかがわかる。名探偵の些細な行動に至るまで論理的で、何もかも辻褄 がすっかり合う。わしらを失望させたりしないでしょうな、ディーンさん?」
「そう願っています」(293ページ)
の言葉通り、「名探偵、皆を集めてさてと言い」の講釈が始まる(犯人本人はもう捕まっているから、その場にはいないのだが)
傑作とまでは言えないものの、佳作であり、雰囲気も含め、ユーモアを含んだ英国本格ミステリの醍醐味が楽しめる。手に取りやすくなってなによりだった。