世界が終わる灯/月原渉
- 作者: 月原渉
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2011/09/29
- メディア: 単行本
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『太陽が死んだ夜』で第20回鮎川哲也賞を受賞した作者の、第二作目である。
『太陽が死んだ夜』は、第二次世界大戦中のニュージーランドの捕虜収容所と、現在の全寮制の女学校という舞台は魅力的ではあるものの、ミステリとしてはいまいち弱いところがあった。この『世界が終わる灯』の方がずっと良くできている。登場人物が前作と一部被っており、『太陽が死んだ夜』の某登場人物の秘密が明かされているので、出版された順番に読むのが無難だと思う。
ニュージーランドの山間を走る豪華列車。ジュリアンとバーニィ、大学進学を目前とした二人は、この列車に乗って旅を出た。顔見知りとなった乗客の国籍や年齢も様々だった。やがて乗員の一人が、密室で首切り死体として発見される。そして乗員が次々と消え、列車はトンネル内で泊まり、殺人事件は一つでは終わらなかった。
連続殺人事件よりも、乗員たちが消えてしまう謎の方に魅力があった。社会派の要素もあり、総じてなかなか楽しめるミステリだった。
余談だが、経歴を見ただけでは分からないものの、前作といい、今回の作品といい、作者はニュージーランドという国に、なにか特別な思い入れがあるのだろうか。
- 作者: 月原渉
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2010/10/09
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