FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

やさしい闇/エイミー・J・フェッツァー

やさしい闇 (ハーレクイン文庫)

やさしい闇 (ハーレクイン文庫)

  • 作者: エイミー・J.フェッツァー,Amy J. Fetzer,谷原めぐみ
  • 出版社/メーカー: ハーレクイン
  • 発売日: 2011/09/28
  • メディア: 文庫
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 これはヒーローとヒロインが、ストーリーの中盤以降まで実際に顔を合わせることのなく、会話のみで恋に落ちる、珍しい設定のラブロマンスである。
 美しい小島にそびえ立つ石造りの城。実業家リチャードは、この城に四歳の娘ケリーと引きこもり、人前に決して顔を出さなかった。かつて、大変な美男子だったリチャードだったが、ある事件に巻き込まれたことを契機に、ふためと見られぬ、醜い傷のある顔となったのだ。それが原因で、リチャードの妻は去った。
 美女ローラは、ケリーの世話係となるため、この城へと足を踏み入れた。リチャードはみずからの容姿を恥じ、決して闇の中から姿を現そうとしなかった。しかし心優しいローラに惹かれ、ローラもケリーとリチャード、二人を愛していく。
 出会った瞬間、ヒロインがヒロインの美男子ぶりに一目惚れしてしまうことが多いロマンス小説のおいて、この設定は新鮮。舞台が小島の美しい城、そして当主がなかなか闇の中から姿を現さないという点で、ゴシックロマンの雰囲気もあり。
 なかなか面白かった。