森の中の花嫁/シャーロット・ラム
- 作者: シャーロット・ラム,寺田ちせ
- 出版社/メーカー: ハーレクイン
- 発売日: 1999/11
- メディア: 新書
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シャーロット・ラムは、以前二見文庫から出版されている『薔薇の殺意』というサスペンスを読んだことがあり、なかなか面白かった。この『森の中の花嫁』はハーレクインロマンスの中でも、おそらくは相当異色の作品であり、読んでいてびっくりした。
将来を嘱望されていたバレリーナのディランは、逞しくハンサムな森林専門家であるロスと短期間のうちに熱烈な恋に落ち、結婚した(ここまでは定番)
しかし、短期間のうちに交際から結婚まで歩を進めてしまった二人は、互いの環境の違いをよく理解していなかった。都会生まれ、都会育ちのディランは、いきなりロスと森の中で暮らすことになったのだが、これが恐ろしく不便で孤独だった。ディランは新しい棲家で、友人もいないのに、ロスは仕事で家を開けがちだった。
しかも、それが癖なのか、ロスの同僚の妻は、ロスの体にやたらと触りたがる。当然むかつくディラン。
そして、ロスの留守を狙って、ディランの元にかつてのパートナーがやってきては、彼女をバレエの世界に引き戻そうとする。当然むかつくロス。
自然な流れとして、夫婦喧嘩勃発。しかしその矢先、ディランは妊娠してしまう。子供を持つことは考えてはいたが、まだ環境にも馴染んでいないのに早すぎる妊娠だった。
これがお昼のメロドラマだと、
「ヒロインは流産→夫婦のどちらかが浮気→家庭崩壊一直線」になりそうなものだが、ハーレクインロマンスなのでそういった展開にはならず、ハッピーエンドで締め括られる。
しかし、女性の夢と欲望がぎっしりと詰まっているハーレクインロマンスの中で、こんなリアルな展開の作品もあるのかと思わず変な感心をしてしまった。
お互いのことをよく知らないまま結婚してしまった夫婦の新婚生活が、いやに現実的に書かれた一冊。
- 作者: シャーロットラム,Charlotte Lamb,中村三千恵
- 出版社/メーカー: 二見書房
- 発売日: 1999/05
- メディア: 文庫
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