FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

潮風がレディに口づけて/キャサリン・アッシュ

潮風がレディに口づけて (イソラ文庫)

潮風がレディに口づけて (イソラ文庫)

 前半は風変わりで面白いのだが、中盤以降、ヒーローとヒロインが再会してからは、よくある「じゃじゃ馬娘と伊達男のヒーロー」の恋物語になってしまう作品。
 イギリスの伯爵令嬢ヴァレリーは船旅の最中、船が海賊に襲われ、他の乗客ともども攫われてしまう。他の乗客とはフランス人の神父エティエンヌで、ヴァレリーは旅をしている最中から、この神父に惹かれるものを感じていた。二人は力を合わせ、恐怖の数日を耐え抜く。救出されたのち、二人は別れ別れになったが、ヴァレリーは彼に恋をしていた。
 半年後、二人はある貴族の館で再会する。ヴァレリーは伯爵令嬢のままだったが、彼はフラン人神父エティエンヌなどではなかった。スティーヴンという名前の子爵で、ある理由でフランス人神父のふりをしていたのだ。騙されていたことを知り、怒りを感じるヴァレリー。しかしスティーヴンの方でも、ヴァレリーを忘れられず、ずっと愛し続けていた。しかしスティーヴンはある陰謀に足を突っ込んでいたため、真実を彼女に告げることができずにいたのだ。
 陰謀関連でヒロインがヒーローの足を引っ張ることと、そして悪役が阿呆すぎるので、そこも減点の対象。前半だけ傑作のロマンス小説。