FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

シャドー・イン・ザ・ウォーター/インゲル・フリマンソン

シャドー・イン・ザ・ウォーター 悪女ジュスティーヌ 2 (集英社文庫)

シャドー・イン・ザ・ウォーター 悪女ジュスティーヌ 2 (集英社文庫)

 「悪女ジュスティーヌ1」で、『グッドナイト マイ・ダーリン』の続編に当たる。『グッドナイト マイ・ダーリン』はジュスティーヌの心に浮かんでは消える記憶や感情のように、時系列順にストーリーが展開しないタイプのミステリだったが、続編たる『シャドー・イン・ザ・ウォーター』はそうではない。
 時間の流れと同じよう、まっすぐに物語は進んでいく。代わりにジュスティーヌの本人やその心の動きはあまり描写されず、ジュスティーヌの周囲の人間が描かれる。特にジュスティーヌの恋人、そしてジュスティーヌが関わった犯罪の被害者の家族や友人の言動や心情が。
 裕福な家庭に生まれながらも、継母や学友からの虐待や苛めを受けた育ったジュスティーヌ。継母や、かつての苛めの張本人や、ジュスティーヌを裏切った恋人は次々と死んだり、そうでなければ謎めいた失踪を遂げたりした。
 それら犯罪から数年の月日が流れても、死者や行方不明者の家族や親しい友人は、つらい記憶を消せずにいた。そしてジュスティーヌへ疑惑の目を向け続けていた。
 ジュスティーヌのかつての恋人の息子、ミッケはジュスティーヌを父の敵と思い込み、復讐の機会をうかがっていた。刑事トミーも、密かにジュスティーヌの周囲を探っていた。もっともトミーは家族に暴力をふるう男で、そのことについて家族がどう考えているか把握していなかった。
 『グッドナイト マイ・ダーリン』の風変わりな構成に比べれば、まだしも一般的な形式の心理サスペンスなのだが、やはり面白い。これもまた熱く冷たい復讐小説。

グッドナイト マイ・ダーリン 悪女ジュスティーヌ 1 (集英社文庫)

グッドナイト マイ・ダーリン 悪女ジュスティーヌ 1 (集英社文庫)