三つの秘文字/S・J・ボルトン
- 作者: S・J・ボルトン,法村里絵
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2011/09/21
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読んでいて途中でのけぞった。いかにも本格ミステリ風に始まるが、本格ミステリでは終わらない。途中で相当な「筋のねじれ」が見られる小説で、読んでいて想像したのは一時期のロバート・ゴダードの小説だった。
等身大の女性よりやや出来のいいヒロイン……優秀な産科医……が、夫の転職のため彼の生まれ故郷の土地に引っ越さなければならず、新しい職場や閉鎖的な土地柄に慣れず、悪戦苦闘しているというリアルな設定と、シェトランド諸島の人達が怒り出さないか思わず心配になるほどの真相の落差が凄い。
夫ダンカンの転職に従い、夫の故郷シェトランド諸島に引っ越してきた産科医トーラ。人とうまく付き合うことのできないトーラは、それまでとあまりにも違う環境と、して新しい職場にも馴染めずにいた。
トーラはある日、女性の死体を発掘してしまう。あからさまに異様な死体だった。心臓は抉り出されており、背中に三つのルーン文字が刻まれ、しかも出産直後の身体だった。
トーラは事件に不審なものを感じ、調査を進めるが、土地の人間である夫や夫の両親との関係も気まずいものとなる。もう一人、この異様な事件の調査に執着を見せている人間がいた。やはり警察という組織や他人とうまく馴染むことのできない、島の女性巡査部長デーナだ。トーラとデーラは独自の調査を続けていく。その先には、この小さな島の暗澹たる秘密が待っていた。互いに一匹狼タイプのトーラとデーラは自分達でも知らぬうちに信頼や友情を築いていくが、やがて衝撃的な事件が起きる。
余談だが、アン・クリーヴス『野兎を悼む春』をとこの作品を読んで感じたことだが、シェトランドは英国の一部であるにも関わらず、北欧、特にノルウェーとの繋がりが強い。検索してみて、Wikipediaでこの記事を見つけ、思わず納得。
- 作者: アン・クリーヴス,玉木亨
- 出版社/メーカー: 東京創元社
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