運命の夜に抱かれて/ぺネロぺ・ウィリアムソン
運命の夜に抱かれて (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)
- 作者: ペネロぺ・ウィリアムスン,木下淳子
- 出版社/メーカー: 二見書房
- 発売日: 2011/05/23
- メディア: 文庫
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (1件) を見る
ぺネロぺ・ウィリアムソンは初めて読む作家。彼女も、現在のところ(二〇一一年九月)には、この『運命の夜に抱かれて』しか邦訳が出ておらず、他の作品もぜひ読みたいところ。
とても面白いのだが、まだアメリカで先住民や他国との争いの火種がそこかしこに残っている時代設定でもあり、戦闘シーンはもちろん、登場人物の虐殺場面もあるので、そうした描写が苦手な人は避けた方が無難かもしれない。
1721年、ボストン。十七歳の娘デリアは、酒浸りの父の暴力から逃れるため、新しい生活を求めて花嫁募集の新聞広告に応募する。しかし、迎えにやってきたのは、夫となるはずの農夫ナットではなく、医師タイだった。開拓地への過酷な道中をともにするうち、デリアとタイは惹かれ合っていく。
読んでいて、ロレイン・ヒースの傑作『あなたのそばで見る夢は』を思い出した。あれも、花嫁となるべく女性を未来の夫の弟が迎えにきて恋に落ちる話だった。そして本来の夫である兄は、「なんだって、**と○○と愛し合っているって。だったら、僕は即座身を引くよ」などとほざくボンクラ(ロマンス作家の中にも結構いる)ではない。この『運命の夜に抱かれて』のナットもそういう人物としては書かれておらず、安堵した。
デリアとタイが本来の目的地に到着しても、まだそこから波瀾万丈の展開が待っており、最後の最後まで気が抜けない。
実にうまいロマンス作家、エンターテイメント作家である。
あなたのそばで見る夢は (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション ヒ 1-2)
- 作者: ロレイン・ヒース,旦紀子
- 出版社/メーカー: 二見書房
- 発売日: 2010/04/20
- メディア: 文庫
- クリック: 2回
- この商品を含むブログ (3件) を見る