FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

悪魔の餌食/ブレッド・アンスティ監督

悪霊の餌食 [DVD]

悪霊の餌食 [DVD]

 オーストラリアのホラー映画で、B級なのに、B級の良さも感じられない映画。
 ホラー映画としてはまあまあ珍しい「死を予告する妖精バンシーの伝承」を前面に押し出しておきながら、結局目立っているのは別のモンスター(ゾンビ)という変な映画である。
 この映画、冒頭はなかなかいいのだ。恋人ポールを連れ、久しぶりに田舎の実家に帰郷を果たしたクレア。霧の中に浮かび上がるのは、石作りの館。敷地内には、鶏の亡骸が、一つ、二つ転がっている。不気味で薄暗い雰囲気を巧みに醸し出している。
 待っているのは父親と妹、そして寝たきりの祖母、そして妹のボーイフレンド。この家に来る前、祖母は不思議な骨壺をクレアに送り付けていた。
 そして祖母はこんなことを言う。このオニール一族には、その死を嘆き悲しんでくれる哀しみの婦人がいる。この私の死期も近いから、もうすぐ彼女が来る。だが決して、彼女の邪魔をしてはならない、と。
 その嵐の晩、館に、白い衣服に赤い瞳をした女が、泣き喚きながらやってくる……。
 と、いいのはここまでで、あとはいきなりゾンビ映画になってしまう。それも出来の良くないゾンビ映画に(ちなみにヒロイン達がバンシーの邪魔をしたからという理由で現れ、それが主たる敵の一つとなる)。結局「哀しみの婦人」バンシーはさして目立ってない。
 ちなみに結構えぐいシーンは多い。
 ストーリー進行のバランスを欠いた映画。