FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

恋物語の悪役をあなたに/マーガレット・ムーア

恋物語の悪役をあなたに (RHブックス・プラス)

恋物語の悪役をあなたに (RHブックス・プラス)

 舞台がバースで、ロマンスで、ゴシック小説と揃えば、これはジェーン・オースティン『ノーサンガー・アビー』の世界である。訳者あとがきでも、舞台となるバースがジェーン・オースティンとゆかりの深い土地だったことは述べられている。
 『ノーサンガー・アビー』のヒロイン、キャサリンはゴシック小説が大好きだったが、この『恋物語の悪役をあなたに』のヒロイン、ダイアナもゴシック小説が大好きだ。自分でも執筆に手を染めている。
バースでの社交界デビューを迎え、ダイアナはあることを決意していた。自分が書いているゴシック小説の悪漢のモデルとなるような、放蕩者の美青年貴族を見つけ、そしてじっくりと観察することだ。運良く(彼にとっては運悪く)彼女の目に飛び込んできたのは、アダーリー子爵エドモンド。彼こそ理想のモデルと信じたダイアナは、アダーリーを(観察するため)熱い視線を送り続ける。
 しかし真のアダーリーは浮いた噂とは裏腹に、真面目な学級肌の男だった。やがて彼は、ダイアナのぴったりと張り付くような視線に気づく。彼女は自分に気があるのか?
ジェーン・オースティンの小説同様、これといって波瀾の展開になるわけではないものの、そこそこ面白かった。
 ヒロインがゴシック小説大好きという設定は、今までしばしば見られたが、ヒーローもゴシック小説が好きという設定は斬新かも。

ノーサンガー・アビー (ちくま文庫)

ノーサンガー・アビー (ちくま文庫)