FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

もうひとりいる/柴田一成監督

もうひとりいる COMPLETE COLLECTION [DVD]

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 ローティーンの美少女三人組を起用したお手軽ホラー映画、かと思いきや、ドッペルゲンガーというテーマに正面から挑んだ、本格的なホラー映画に仕上がっている。一時間そこそこという短さもちょうどいいぐらいだ。
 真夏の昼下がり、廃校で行われる十代前半の美少女三人組のグラビア撮影。まだグラビアアイドルという職業に慣れない少女、積極的にのし上がろうとする少女、かつて親の手によってロリータモデルとして売り出されていた少女、それぞれの個性はばらばらで、今一つまとまりはなかった。
 そこで異様なことが起こった。三人組のマネージャーが、二人いるように見えるのだ。単なる見間違いだと思いつつ、雑誌編集者が「もう一人の自分を見たものは死ぬ」というドッペルゲンガー伝説を口に出し、空気は不穏になっていく。やがて、マネージャーは墜死した。傍らには雑誌編集者がいた。あくまでドッペルゲンガー説を唱える編集者に対し、疑惑の目を向ける他のメンバー。編集者は彼ら……モデル三人組、男性カメラマン、そしてメイク係の女性……を教室の一室にナイフで脅して監禁する。
 彼らはどうにか脱出を試みるものの、閉じ込めたものも、閉じ込められたものの、次々と「もう一人の自分」と出会い、生命を失っていくのだ。
 実のところ、少女達の演技は最初から最後まで、さほどうまくないのだが、それでも思わず引き込まれる。「ドッペルゲンガー」テーマの創作物としても、良くできている方。大傑作とまではいかないものの、ホラー映画のファンには十分勧められる。
 ちなみに監修は清水崇。調べてみて初めて知り、面白さに納得がいった。

暗い鏡の中に (創元推理文庫)

暗い鏡の中に (創元推理文庫)

ドッペルゲンガー伝説を扱った映画と小説。