FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

壁の花の聖夜/リサ・クレイパス

壁の花の聖夜 (ライムブックス)

壁の花の聖夜 (ライムブックス)

 リサ・クレイパス「壁の花シリーズ」ファンへの、クリスマスプレゼントという趣がある作品。むろんファンサービスの一環として、「壁の花たち」のその後の姿と、リリアンとデイジーの兄、レイフの恋物語が描かれる。
 アメリカ人で、自分の生き方を押しつけてくる父親とは訣別、投資で成り上がったレイフの恋の相手は、イギリス貴族令嬢……ではなくて、貧しいこのコンパニオンのハンナ。プレイボーイという評判のレイフに警戒心を剥き出しにしている。
 「シリーズキャラクターのその後の姿」プラス「放蕩貴族と、貧しい堅物娘の恋愛という、ヒストリカルロマンス界に、ありふれて、ありふれて、ありふれてもうたまらないカップリング」という組み合わせと聞いては、「『壁の花シリーズ』ファン以外が読んだとき、さっぱり面白くないのでは?」という疑問を持つかもしれないけれど、そうではない。むろん、シリーズ読者の方が何倍も楽しいだろうが、レイフとハンナのロマンスや、某夫婦の間に起ったちょっとした騒動も楽しめるからだ。
 多分これがリサ・クレイパスの力量なのだろう。多分、もっと腕の落ちる作家が書いていたら、ずっとつまらないものに仕上がるはず。お父さん、頭は***だったのですね。
 そこそこ面白かった。

春の雨にぬれても (ライムブックス)

春の雨にぬれても (ライムブックス)

ひそやかな初夏の夜の (ライムブックス)

ひそやかな初夏の夜の (ライムブックス)

恋の香りは秋風にのって (ライムブックス)

恋の香りは秋風にのって (ライムブックス)

冬空に舞う堕天使と (ライムブックス)

冬空に舞う堕天使と (ライムブックス)

↑「壁の花」シリーズ(ただしシリーズ刊行順にあらず)