MAY メイ/ラッキー・マッキー監督
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凄く良かった。
繊細で、他者とうまく人間関係を築くことのできない、孤独な少女が次第に狂気に向かっていく様子を、丹念に描いた作品。ラッキー・マッキー監督は学園ホラー『怨霊の森』しか見たことがなく、『怨霊の森』も決してつまらない作品ではなかったのだが、この『MAY メイ』の漂わせる哀切感、そしてなにより映画としての完成度が比較にもならない。
弱視で、子供の頃から仲間外れにされることが多かったメイ。友人は硝子ケースに収められた人形スージーだけ。大人になり、動物病院での勤務という職を得て、一人暮らしをするようになってからも、対人関係には不器用で、やはり友人はスーザンのみだった。
やがてメイは、職場の近くにある自動車の修理工場で働くアダムという青年に惹かれ、物陰からじっと観察するようになる。なによりメイを惹き付けたのは、アダムの手の美しさだった。初めはただアダムを見ているだけのメイだったが、二人は実際に顔を合わせ、会話を交わしたり、二人だけで会うようになる。有頂天になるメイだが、アダムは彼女の言動に違和感を感じるようになっていた。
同僚の同性愛者の女性もメイに近付くが、やはり彼女ともうまく行かなかった。
人間関係の軋みから、メイは次第に追い詰められていく。
メイの唯一の「友人」、スージーの使い方が実にうまい。この人形が失われてしまう凄惨なシーンは、ここ数年で見たホラー映画の中でももっとも怖く、そして痛ましいものだった。
いささか風変わりではあったものの、ともあれ普通の暮らしをしていた少女が、正気と、そしておそらくは日常生活すべてを失ってしまう様子を描いたラストシーンは圧巻でもあり、切なくもある。
傑作。
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