The Ghost Orchid/CAROL GOODMAN
The Ghost Orchid: A chilling Gothic thriller perfect for fans of Susan Hill and Jodi Picoult
- 作者: Carol Goodman
- 出版社/メーカー: Arrow
- 発売日: 2007/04/05
- メディア: マスマーケット
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『乙女の湖』という学園サスペンスの邦訳がある、キャロル・グッドマンのゴシック小説。
ボスコ。アメリカはハドソン河のほとり、丘の上にある、静寂に支配された屋敷。土地はストローブマツに囲まれており、敷地内には無数の泉があり、洞窟があり、神話や伝説から取られた像がある。
十九世紀、ここでブラックウェル事件と呼ばれる一つの事件が起きた。当時のボスコの当主、マイロ・ラサムは材木を商って富を築いた。夫人のオーロラとの間には、三人の子供がいたが、ジフテリアですべて生命を失った。ただ一人生き伸びたのは、アリスという娘だけ。オーロラは、死んだ子供達に会うため降霊会を開きたいと、霊媒コリント・ブラックウェルという女性に依頼し、他のゲストの何人とともに屋敷に招いた。ところがコリントは、共犯のトム・クインとともにアリスを誘拐し、そのまま姿をくらました。ラサム夫妻も、フランク・キャンベルという肖像画家のゲストも、この事件の際、生命を失っている。
現在、ボスコは芸術家達のコロニーとなっている。エリーズは、ブラックウェル事件をもとに小説を書きたいと願い、事件について調べ始める。ところが事件について調べ始めるうち、エリーズの上に、ボスコで暮らす造園家や詩人など、他の芸術家の上に、様々な異変が起き始める。
コリントとエリーズのパートが交互に語られ、コリントの章で、「ブラックウェル事件」の真相が次第に明らかになっていく。
キャロル・グッドマンらしく、「水」や「現在と過去という、遠く離れた二つの時間」を重要なモチーフとして扱い、物語全体に漂う耽美的、神秘的な雰囲気は高く評価できる。
しかしながら、ゴシック小説、ことに現代、つまりエリーズのパートの展開が陳腐だ。これならば、舞台を過去のみに限定した歴史ものにするか、超常現象の部分はなしにして、エリーズ達が資料を使い、「ブラックウェル事件」の真相を明らかにしていくというミステリにしてしまった方が良かったのではないかと思われる。
屋敷の描写が格好いいので、途中までは凄く面白かった。
- 作者: キャロルグッドマン,Carol Goodman,津森優子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2003/01
- メディア: 文庫
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