FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

悪魔の棲む家/アンドリュー・ダクラス監督

 実話を映画化したという触れ込みの作品。情けなくとも、スチュアート・ローゼンバーグ監督のオリジナルは未見であり、原作ジェイ・アンソン『アミティヴィルの恐怖』は未読。
 ストーリー展開は定石を一歩も踏み外さないものだが、「幽霊屋敷」としては、最上級のものではないだろうか。館も壮麗で、実に美しい。
 ニューヨーク州ロングアイランド瀟洒な豪邸に、ラッツ一家……夫ジョージ、妻キャシー、そしてキャシーの連れ子ビリー、マイケル、チェルシーが引っ越してきた。
 この豪奢な邸宅はひどく安価だったのだが、それには理由がある。過去、この家で凄惨な殺人事件が起きていたのだ。以前に住んでいたデフェア一家、その長男が両親と、幼い弟妹を皆殺しにしていたのだ。「家から命令された」という理由で。
 そして観客の期待を裏切らず、ジョージの精神は異変をきたしていく。
 悪夢を繰り返し見、家族への態度は刺々しくなり、やがて凶暴ささえ示すようになっていく。一方チェルシーは、ジョディーという少女と友人になる。だがジョディーはチェルシーにしか見えない。しかもジョディーというのは、兄に惨殺されたデフェア家の一員である幼女と同じ名前だった。
キャシーは、夫を、そして子供達を救うため、屋敷について調べ始める。しかしジョージの狂気はただならぬものとなっていた。
 最初から最後までストーリー展開が読めるものの、それでも楽しめるということは、見せ方がうまいのだろう。
 余談ながら、この映画に出てくる神父は情けなかった。ウィリアム・フリードキン監督『エクソシスト』やスコット・デリクソン監督『エミリー・ローズ』を見たあとだから、余計にそう思う。ホラー映画に颯爽と登場し、いかにも活躍してくれそうでいて、そのくせここまでなにもしなかったのは、このキャラウェイ神父ぐらいのものではないだろうか。
 「家」テーマのホラーが好きならば、見て損はなし。

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↑傑作だけど、ちょっと長い↑悪魔憑き+法廷劇という異色のコラボレーション。傑作。