悪魔の墓場／ホルヘ・グロウ監督

悪魔の墓場 -HDリマスター版- [DVD]

　良く出来たゾンビ映画である。ゾンビ映画は、そのモンスターとしての特徴上、ストーリー展開が型にはまったものになりがちで、このホルへ・グロウ監督『悪魔の墓場』も一種の定型の内側にある……旅行者として、ある土地を訪れた主人公達。だがそこはゾンビが出現する土地で、主人公達や住人達を次々と襲い出す……ものだが、そういったストーリーのゾンビ映画群の中でも指折りの名作である。周囲になかなかゾンビの存在が分かってもらえず、ことに警察からは悪魔崇拝者のレッテルを張られ（身を守るためゾンビを焼殺したことが理由の一つ）、殺人者と疑われ、ゾンビ相手のみならず、警察とも戦わねばならぬという二重のサスペンスが効果を上げている。
　大都会から郊外へと向かう芸術家ジョージ。彼は乗っていたバイクを同じく旅行者のエドナに壊され、二人は仕方なくエドナの自動車で、イギリスの田舎町を目指すこととなる。エドナは姉に会いに行くつもりだった。エドナの姉はかつて薬物中毒に陥っており、現在は田舎で夫とともにリハビリ生活を送っている。
　中途ジョージが車を離れ、道を聞きに行く。そのとき全身ずぶぬれで、瞳の赤い、おかしな男が現れて、エドナの生命を奪おうとする。そのときはジョージもエドナも知らなかったが、それは一週間前に死んだはずのホームレスだった。ホームレスは、やがて姉夫婦の前にも現れる。
　「主役達が警察にずっと疑われている」という経緯がもたらしたラストは、内心で「やるだろうな」と思っていても、やはり衝撃的だった。
　秀作。ホラー映画好き、ゾンビ映画好きなら、見て損はなし。

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