FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

The Kiss/Sophia Nash

The Kiss (Widows Club)

The Kiss (Widows Club)

 ソフィア・ナッシュはスイスで生まれ、フランスとアメリカで育ったものの、心は摂政時代のイギリスにあった(著者紹介ページより)。
 邦訳では、竹書房ラズベリー文庫から、唯一『海と空の宿る瞳』が邦訳されている。この゛The Kiss゛はその続編、「未亡人シリーズ」の第二作に当たり、『海と空の宿る瞳』の主役ロザムンデとリュックも、ヒロインの友人として登場する。前作同様、舞台は自然豊かなコーンウォール
 ジョージアナは若きエルズミーア侯爵未亡人。ジョージアナの父親は執事で、かつて夫の家に使用人として仕えていたため、ジョージアナは夫が生きていた頃から、アンソニーの親族に白眼視されることが多かった。夫のアンソニーが急死したのち、ジョージアナはコーンウォールの実家に戻った。そして病の父に代わり侯爵家の領地ぺンローズを采配し、繁栄させてきた。
 そこに、元々結婚に反対だったアンソニーの母に言われ、ジョージアナとその一家ペンローズから追い出すため、アンソニーの亡きあと侯爵となったクインが現れる。クインはアンソニーのいとこであり、ジョージアナとアンソニー、そしてクインは幼馴染みだった。ジョージアナにとってクインは初恋の男性だったが、外交官としてのキャリアを積むため、さっさと家を出て、別の女性と結婚してしまった。二人の間で恋が芽生えるが、ジョージアナはアンソニーを忘れられず、再婚には踏み切れずにいた。
 『海と空の宿る瞳』では、ラスト間際に小さな驚きが仕込まれていたが、この作品にも少しびっくりするようなところがある。『海と空の宿る瞳』ほどの傑作ではないが、やはり楽しめる。

海と空の宿る瞳 (ラズベリーブックス)

海と空の宿る瞳 (ラズベリーブックス)