FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

スウィートハートは甘くない/スーザン・アンダーセン

スウィートハートは甘くない (ラズベリーブックス)

スウィートハートは甘くない (ラズベリーブックス)

 久しぶりに現代もののロマンス小説を読む。スーザン・アンダーセンはこのシリーズで初めて触れる作家だが、なかなか面白かった。
 遊び人の姉クリスタルが殺され、夫のエディは、クリスタルのバーと幼い娘のリジーを残して失踪した。当然ながら、嫌疑はエディにかけられた。クリスタルの妹、ヴェロニカはリジーのため、故郷に戻り、いやいやながらバーを維持することに。そこで待っていたのは、バーテンダー兼マネージャーのクーパーだった。実はクーパーは、エディとは異父兄弟だったのだが、エディを救うため、血縁関係と、有名作家である事実を隠し、バーに入り込んで独自の調査を始めていた。ヴェロニカと惹かれ合うようになってからの、クーパーはなかなかこれらのことを打ち明けることができずにいた。
 現代もので、殺人事件を扱った作品だが、ヒーローとヒロインの快活な性格とその間で交わされるやり取りゆえか、それほど陰惨な雰囲気はない。もっともヴェロニカも、クーパーも、子供時代から親との関係に悩んでおり、いまだわだかまりは完全には消えておらず、こういった要素で、コメディ部分とシリアス部分のバランスをうまく保っている印象がある。
 本書は、“海兵隊三部作”シリーズの第一作(クーパーは、元海兵隊の一員で、そのときの経験と知識をもとに本を著し、ベストセラー作家となった)。
 ミステリ部分は他愛のないものだが、久しぶりの現代もののロマンスが当たりで嬉しい。

シュガーキャンディはご機嫌ななめ (ラズベリーブックス)

シュガーキャンディはご機嫌ななめ (ラズベリーブックス)

プラムローズは落とせない (MIRA文庫)

プラムローズは落とせない (MIRA文庫)

↑“海兵隊三部作”シリーズの他の作品。どれもなかなかいい。最終作だけ、別の出版社から出ている。