FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

罪深き夜の館で/シャロン・ペイジ

罪深き夜の館で (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

罪深き夜の館で (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

 著者紹介によると、作者シャロン・ペイジは「エロティック・ロマンスの新女王」と評されているらしい。物語のほとんどが、上流階級の人々が密に集う、背徳的でみだらなパーティーの最中に進行するようだから、「官能場面ばかりに頼った、女性向けポルノグラフィー」だったらどうしようかと思っていたが、これが予想していたよりも(というとずいぶん失礼な言い草になってしまうが)、はるかに面白かった。
 失踪人探しと窮地に陥ったものたちの救出、敵からの攻撃と主人公側からの反撃などがもたらすサスペンス、そしてもちろんヒーローとヒロインの恋愛関係もしっかり楽しめる。そして、官能場面もしっかりと書き込まれている。
 一八一八年、ロンドン。ジェインは、彼女を虐待する、はるか年上の夫を火事で失った若き未亡人だった。ジェインは、失踪した親友デルの身の上を案じていた。デルはジェインと同様、はるか年上の男と結婚しており、しかもその夫もデルを虐待していた。
 上流階級の秘密パーティーが、デルの失踪になにか関わりがあると踏んだジェインは、果敢にもパーティーに潜入しようとする。そこで思わぬ再会を遂げた男性がいた。デルの兄、ジェインの心にずっと住んでいたクリスチャンだ。二人はデルを探すため、パーティーに潜り込む。
 そしてデルの行方を追い求める彼らの、生命を狙うものが現れた。
 サスペンス、ロマンス、エロスの三要素がしっかり楽しめる作品。初めて読んだ作家だが、面白かった。