FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

アンボーン/デヴィッド・S・ゴイヤー監督

アンボーン [DVD]

アンボーン [DVD]

 ゾンビや殺人鬼など、濃厚なホラー映画を立て続けに見たあとに、こういった(比較的)淡白なホラー映画を見ると、肉類のあとに上品なデザートを食べた気持になる。
 幼い、だが不気味な少年の亡霊の頻繁な出現に女子大生ケイシーは悩まされていた。それに、自分の眼前に時折現れる「ジャンビーは生まれてきたかった」という文字は一体?
 ケイシーは、ベビーシッターのアルバイトで、相手の子供から負わされた怪我(相手の四歳児もジャンビーのことを口走り、赤ん坊に鏡を執拗に見せ続け、唐突にケイシーを殴った)が原因で、眼科医へと行くのだが、そこで意外な事実を知らされる。彼女は一人っ子のはずなのに、遺伝子上から察して双子だったのではないかと教えられるのだ。そして父に確かめたところ、それは真実だった。双子の弟は、ケイシーのへその緒が首に巻きついだことが原因で、母の胎内で死んでいた。
 弟は、生まれい出ることのできなかった恨みを、ケイシーにぶつけようとしているのか。
 精神病院に入院していた母は、ケイシーが幼い時に首吊り自殺をしている。それも弟の死産が原因だったかもしれない。養女だったという母の遺品を調べた彼女は、ホロスコートの生存者の記事を見つけ、ラインの引いてあった老女へと会いに行く。そして彼女から、意外な話を聞くこととなるのだ。
 それから彼女の周囲の大事な人間達が、危険にさらされるようになる。
 いわゆる悪霊ものなのだが、「ある忌まわしいものに憑かれた一族」という点では、ゴシックホラー風でもある。
 恐怖度、ちょっとしたひねりのあるストーリー展開、ひんやりとした感じのラスト、どれもそこそこの水準を保った、ちょっとお勧めのホラー映画。