エマ/ジェーン・オースティン
- 作者: ジェーンオースティン,Jane Austen,工藤政司
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ハイベリーの名家に生まれ、若く美しく聡明な女性として育ち、あらゆる資質に恵まれているがゆえ、この辺りでは女王のごとく扱われている二十一歳のエマ。自分が賢く、人間観察眼に優れていると自負しているエマ(ああ……この痛さにはやっぱり覚えが……)の趣味は、キューピット役を務めること。エマは自分を慕う同じ年頃の私生児ハリエットを「導き」、正しい結婚相手を見つけてやろうと骨を折る。
傍から見れば余計なお世話そのもののこのエマの所業は、やっぱりうまくは行かない。エマの観察眼は客観的に見たところそれほど鋭いとは言えず(なにせ、自分が本当に恋をしている相手が誰なのかすらはっきりとしていないのだから)、エマの周囲の人間は彼女の予測を越えて動き、自分自身で進むべき道を掴み取る。
小さな世界における社交生活中心の描写、古典的なラブコメの要素、ヒロインを含めた喜劇的要素を持つ登場人物と、いつも通りのオースティンである。そしていつも通り面白かった。
これまで『ノーサンガー・アビー』、『高慢と偏見』、『説得』と読んできたが、この『エマ』に関しては、『ノーサンガー・アビー』や『高慢と偏見』、そして『説得』とは違い、岩波文庫、工藤政司訳で読んだ(他のものは、ちくま文庫、中野康司訳で読んだ)。
なおこの『エマ』は、リージェンシーもののヒストリカルロマンスの愛読者にはお馴染みの摂政皇太子、のちのジョージ四世に献じられている。彼はオースティンの愛読者だったそうだ。
- 作者: ジェイン・オースティン,中野康司
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