邪悪/ステファニー・ピントフ
- 作者: ステファニーピントフ,Stefanie Pintoff,七搦理美子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2011/01/21
- メディア: 文庫
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「女性検死官が、子供ばかり狙うシリアルキラーと対決する。ただし、舞台は十二世紀のイングランド」がアリアナ・フランクリン『エルサレムから来た悪魔』ならば、「刑事がプロファイリングなどを駆使する犯罪学者と組んで、女性ばかりを狙うシリアルキラーを追う。ただし舞台は、二十世紀初めのニューヨーク」が本書『邪悪』である。
悪いところをすぐに列挙できるミステリだ。まずミステリ好きの大半は、真犯人とその動機をあっさり見破ることができるだろうし、女性登場人物が人質にとられるという展開も型に嵌り過ぎている。刑事サイモン・ジールとともに主役の一人を張る犯罪学者アリステア・シンクレアは超人型の名探偵ではなく、へまをよくするし、研究のためにどうかと思われるようなこともするし、おまけに……いや、ネタバレ防止のためにこれ以上はやめておこう。美点は多いが、欠点も多い人物で、読んでいて時折苛々とした。
だが、それらの悪い点を差し引いても、物語に読者を引っ張っていく力を存分に持っており、一息に読むことができた。
一九〇五年。ニューヨーク郊外で、コロンビア大学の大学院生、将来は優秀な数学者となったかもしれない女性サラが惨殺され、事件を目撃したかもしれないメイドが行方不明となった。
事件の捜査をする刑事サイモンの前に、犯人が分かるかもしれないという男が現れる。コロンビア大学法学部教授にして、犯罪学研究所の主催者、アリステア・シンクレア。犯罪者の行動と心理を研究する彼は、サラ殺しそっくりの妄想を、前科者フロムリーが持っていたと話す。半信半疑ながら、サイモンは、シンクレアの亡き息子の妻で、今はシンクレアの研究を手伝う未亡人イザベラとともに、フロムリーについて調べるようになる。
長所と短所、双方をふんだんに持つ作品。歴史ミステリが好きなら、お勧め。
- 作者: アリアナ・フランクリン,吉澤康子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2009/09/30
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