魔女遊戯/イルサ・シグルザルドッテイル
- 作者: イルサシグルザルドッティル,Yrsa Sigurdardottir,戸田裕之
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2011/02/18
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パーの当方には、作者とヒロインの名前が覚えられそうにない。
作者の名前は、イルサ・シグルザルドッテイル。
ヒロインの名前は、トーラ・グドムンズドッテイル。
ここまで書いただけで、なにか字を落としていないかどうか不安だ。
ファン・ホセ・カンパネラ監督『瞳の奥の秘密』で、初めてアルゼンチンのミステリ映画に触れたが、このイルサ・シグルザルドッテイル『魔女遊戯』で初めてアイスランドのミステリに触れた。傑作とまでは行かないが、なかなか良かった。
アイスランド大学で、ドイツ人留学生が両目を抉られた酷い死体で発見された。彼は自分の時間と、祖父から受け継いだ莫大な資産を、魔女研究に注いでいた(アイスランドでも魔女狩りってあったのね)。被害者の両親からの依頼で、女性弁護士トーラは事件の調査を始める。やはり被害者の両親の命令でやってきた、元ミュンヘン警察刑事ライヒと組んで。
二人の子供を育てる、離婚歴のあるキャリアウーマンであるヒロインは、従来から翻訳されている女性探偵もの……プロ・アマチュアを双方を含む……の主人公を思わせる。事務所を貸してもらう代わりに、ひどく使えない女性を秘書として雇わなければならないなど、彼女の生活から漂う日常性とユーモアは、被害者が巻き込まれた殺人事件、そしてその背後に横たわる魔女狩りの陰惨さや、事件のキーの一つとなるある奇怪な古書から放たれるゴシック風の暗い雰囲気と、絶妙な対比を見せている。
殺人事件の持つ謎とその解決もいいが、それらが明かされたあとにヒロイン(と読者)に被害者の別の一面を見せるという構成もうまい。
「アイスランドのミステリを初めて読む」という点を差し引いても、なかなか面白いミステリだった。訳者によるあとがきによると、アイスランドにはたくさんの良きミステリがあるらしいので、もっと翻訳されてほしい。
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