FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

ノンストップ!/サイモン・カーニック

ノンストップ! (文春文庫)

ノンストップ! (文春文庫)

 傑作である。主人公トム・メロンを襲う災厄もノンストップならば、ページをめくる読者の手もノンストップ!
 トム・メロンは三十代半ば、イギリスに住むIT企業の営業マン。美しい妻と、可愛らしい二人の子供を持つ平凡な男だった。その土曜日の午後三時までは。受話器の向こうで、最近顔を合わせていなかった親友が死んだ……どうやら殺されたようだ。しかも彼の住所を言い残して。不吉な予感を感じた彼は、苦手な義母に二人の幼い子供を預け、大学で講師を務める妻キャシーの元へと向かった。だキャシーの姿は見当たらず、代わりに血痕のみが残されていた。
 そこから彼にはのべつまくなしにトラブルがふりかかる。情け容赦ないだとか、絶え間ないだとかいう意味がある原題RELENTLESSというのがまさにぴったりな状況で、捜査熱心な警察官から、拷問大好きな殺し屋までが、次から次へと彼を引きずりまわし、平和と安全を妨げる。しかも新たに目の前に現れる人間から、よく知っているはずの人間まで誰もが信用できない状況。
 サイモン・カーニックの小説を読むのが初めてなのだが、これが大当たり。これまでに邦訳されている二冊、『殺す警官』と『覗く銃口』も読みたくなった。
 サスペンス小説が好きならば、絶対お勧めの一冊。

覗く銃口 (新潮文庫)

覗く銃口 (新潮文庫)

殺す警官 (新潮文庫)

殺す警官 (新潮文庫)